【自分メモ】

フリーランス翻訳者の読書メモ

04« 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31.»06

『The Man Who Mistook His Wife For A Hat: And Other Clinical Tales』 

20140414(1).jpg


Oliver Sacks 著の『The Man Who Mistook His Wife For A Hat: And Other Clinical Tales』を読みました(日本語版:『妻を帽子とまちがえた男』)。

脳神経学者Oliver Sacksが自身の患者についてつづった症例エピソード集です。V. S. Ramachandranが『Phantoms in the Brain: Probing the Mysteries of the Human Mind』(読書感想文記事はコチラ)でこの本に言及していたので、興味津々読んでみました。

Ramachandranの本同様、この本でも脳の障害が引き起こす不思議な症状が紹介されています。

本のタイトルにもなっている「妻を帽子とまちがえた男」のエピソードは、人の顔が認識できなくなり、妻と帽子の区別がつかなくなってしまった、という男性患者のお話。目の機能には問題がなくても、目から入ってくる情報を脳が適切に処理できなければ、「正しく見ることができない」という状態を引き起こすことが分かります(Ramachandranの本にも似た症例が紹介されていた気がします)。

その他にも、自分の手足が自分のものでないように感じてしまう男性のエピソード、体の感覚をすべて失ってしまった女性のエピソード、膨大な桁数の素数を暗算する自閉症の双子のエピソードなどなど。思わず「不思議だなあ」とつぶやいてしまうようなユニークなエピソードが、全部で24編収録されています。

ところで、これらのエピソードの中にいくつか、「うーむ」と考えさせられるものもありました。

その1つが、頭の中でずっと音楽が鳴り続けていた女性のエピソードです。とある国からアメリカに移住した彼女の頭の中で、ある日音楽が鳴り始めるのですが、その音楽は、懐かしい祖国で聴いていた音楽でした。とはいえ、音楽が頭の中で四六時中かかっているのは「異常」な状態。結局治療対象となるわけですが、治療が終わり音楽が鳴りやんでしまうと、その患者はなんだかさびしい気分になってしまう。彼女は「普通」の人と同じ状態に戻ったけれど、その治療で彼女は幸せになれたのでしょうか...?

この本から少し離れてしまいますが、昔『レナードの朝』という映画がありました。脳炎の後遺症で、意識はあっても、話すことも動くこともできなくなってしまったレナード。医師がレナードに試験的な新薬を投与すると、レナードは奇跡的な目覚めを迎える、というお話です。

この映画の原作も、Oliver Sacksです。といっても、もとは、脳炎患者にこの新薬を投与した時の詳細な治療記録で、その膨大な治療記録の中から、一人にスポットライトを当てたものが、後に「レナードの朝」になったという方が正しいかな。

この映画の中でレナードは、一時的に身体的機能を取り戻すものの、最終的にはまた元の状態に戻ってしまいます。そして観終えた時、私の心の中には「果たして、レナードは目覚めて幸せだったんだろうか」、という疑問が残りました。一時的にでも人生を楽しめたのだから幸せ? それとも、奪われてしまうような幸せなら最初から与えられなかった方がよかった?

上述の「頭の中で音楽が鳴り続ける女性」のエピソードを読みながら、この『レナードの朝』のことをふと思い出しました。

本の話に戻りますが、『The Man Who Mistook His Wife For A Hat』には、単純に「こんなことがあるなんて、不思議~」と思いながら読めるエピソードあり、上の例のように「治療することで、果たして患者は幸せになったのか?」と考えてしまうエピソードもあり、非常に好奇心そそられる1冊でした。

それにしても脳って本当に不思議。脳に関係する本を読めば読むほど不思議に思えてくるのが、これまた不思議。
関連記事

カテゴリ: 【4】 心理学 

テーマ: 心理学いろいろ - ジャンル: 心と身体

[edit]

Posted on 2014/04/14 Mon. 18:49    TB: --    CM: --

Greetings!

Categories

Recent entries

Archive

Now on Instagram

Twitter

My bookshelf

Recommended books for you

Search in this blog

Send mail