【自分メモ】

フリーランス翻訳者の読書メモ

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『The Brain That Changes Itself』 



Norman Doidge 著の「The Brain That Changes Itself: Stories of Personal Triumph from the Frontiers of Brain Science」(日本語版:『脳は奇跡を起こす』)を読みました。
この本の全体的なテーマは、脳の可塑性。

可塑性とはなんぞやというと、変化しうる性質、と言えるかと思います。

様々な原因で脳がその機能の一部に問題を起こした時、または脳の一部が機能しなくなった時、患者は残りの人生をつらい思いをしたまま暮らしていかなくてはならないのでしょうか。脳卒中、学習障害、平衡感覚の損失、幻肢痛・・・どれもが誰にでも起こり得る問題であり、そしてどれもが深刻な問題です。

著者は、この問題に対する解決の糸口は「脳の可塑性」であるとしています。

これまでは、脳細胞の死や脳への損傷は、永久的な機能の損失を意味していました。しかしながら最近の脳科学では、脳には可塑性があり、正常な脳細胞機能を利用して失われた機能を再生できることが分かってきているそうです。

この本では、そんな脳の可塑性をクリエイティブに駆使した様々な症例への取り組みが、エピソード形式にまとめられています。それぞれが「患者に何があったのか、それは脳科学的にどのような状態なのか、学者はこの問題にどう取り組んだか、そして結果はどうだったか」、という構成になっていまして、非常に分かりやすいです(専門用語は多めですが、読んでいるうちに慣れるかも?)。

多くのエピソードの中で、私の印象に最も残っているのが、「幻肢痛」のエピソードです。幻肢痛というのは、例えば、事故や病気等で足や腕を切断した後、既に存在しない足や腕に痛みやかゆみを感じる、という症状です。このエピソードでは、神経学者Vilayanur Ramachandranがとある患者の症状を、あっと驚くシンプルかつ安価な方法で解決に導いています (エピソードとは関係ありませんが、問題への解決法というのはいつでも、案外身近にあるのかもしれません。大事なのはそれに気付けるかどうか、なのかも)。

で、なぜこのエピソードが私の印象にそんなに強く残っているのかというと、この本を読み始める前、私は偶然にもVilayanur RamachandranのTEDプレゼンテーションを観ていたからなのです (日本語字幕選択可能です)。


非常にパワフルであると同時に、楽しくそして多くを学べるこのプレゼンを観てから数ヵ月後、この本を読んでいたら、「あれ? このハナシどこかで・・・?」と(笑)。

もちろん、このエピソードに限らず、本に収録されているエピソードはどれも、私には非常に興味深く感動的でもあり、将来への希望を感じられるものでした。

本当にいい本に出会ったな、またこんな本に出会いたいな、と思わせてくれる一冊でした。
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カテゴリ: 【4】 心理学 

テーマ: 心理学いろいろ - ジャンル: 心と身体

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Posted on 2012/12/02 Sun. 19:19    TB: --    CM: --

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