【自分メモ】

フリーランス翻訳者の読書メモ

10« 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.»12

『恍惚の人』 


有吉佐和子著の『恍惚の人』を読みました。


隣家に暮らす姑が急死。
それをきっかけに昭子は、舅の様子がおかしいことに気付く。

身の回りの人や食事をしたことを忘れる様子から始まり、話が進むにつれて、排せつコントロールがおぼつかなくなり、徘徊し、そして...

老人性認知症にかかった舅。
子育てしながら仕事もしながら、舅の面倒を見る昭子。
実の父のことなのに、すべてを昭子任せにする夫。
自分たちの老いにも敏感になってゆく昭子と夫。

この本が刊行されたのは1972年。

ずいぶん昔の小説だなって思いながら読み始めました。でも、症状の進行って昔も今も同じだし(早期発見と治療で進行を遅らせることはできる、と聞いたことはあるけど)、家族が患者の面倒を見るという構図も昔からほぼ変わらないんですよね。そう考えると、時代背景的なものを現代に差し替えてしまえば、2014年の物語と言ってもおかしくない...と思える内容でした。

認知症患者本人の描写も、患者にかかわる身内の人間の心理描写も圧巻。文字を追いながら、まるで映像を観ているようでした(今気づいたんですが、映画とかドラマにもなってたんですね)。私は、やはり自分自身が仕事を持つ主婦だからか、主人公の一人である昭子に序盤から強く感情移入してしまいました。

今この時代だからこそ、地域社会で認知症患者を介護する家族へのサポートがあったり、世界的にも認知症サミットが開催されるほど認知症への関心が高まっていたり(患者数急増という危機も高まってるけど)、ネットからいろんな情報を得ることはできるけれど、それでも自分のコントロールできないところで、一人の人間がまるで違う人になっていくのを受け入れて支えていくというのは、体力的にも情緒的にも、どれほどまでに辛く難しいことだろうか、と読み終えた後しばらく考えてしまいました。

楽しくさらさらっと読めるような作品ではありませんが、読んでよかったと思える一冊になりました。
関連記事

カテゴリ: 【3】 認知症 

テーマ: 認知症いろいろ - ジャンル: 心と身体

[edit]

Posted on 2014/03/28 Fri. 15:24    TB: --    CM: --

Greetings!

Categories

Recent entries

Archive

Now on Instagram

Twitter

My bookshelf

Recommended books for you

Search in this blog

Send mail