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フリーランス翻訳者の読書メモ

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『現代語訳 学問のすすめ』 



福澤 諭吉 著 (& 斎藤 孝 訳)の、「 現代語訳 学問のすすめ」を読みました。

福澤 諭吉の「学問のすすめ」と言えばもちろん、「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」、ですよね。でも、その先、ひいては、一冊まるまるきちんと読んだ人って、現代の世の中において果たして何人いるのでしょうか、といいますか、果たして存在するのでしょうか。

・・・という疑問を持った斎藤氏が、「それならば、現代人にとって読みやすくすれば良いのだ」という発想で現代語訳したのが、本書「現代語訳 学問のすすめ」です。

もともと「学問のすすめ」は1872年~1876年にかけて分冊で発行されていたそうです。それが1880年に一冊の本にまとめられて発行されると、当時の世の中で10人に1人は読んだんじゃないかと言われるほどのベストセラーになったそうで。

じゃあ、それが今なぜ読まれていないかというと、「言語の壁なんでしょうね」、と斎藤氏は考えます。当時、その時代の文語で綴られた「学問のすすめ」は、当時の人にとっては読みやすく、そのため、福澤氏のアツイ思いもがっちり伝わるワケですが、その当時の言葉は、今となっては何だか読みにくーいワケなんですよね。これはもう、仕方の無いことです。そこでこの現代語訳なんですが、斎藤氏の手によって、福澤氏のアツイ思いがしっかり届くような、そしてとっても読みやすい訳書になっています。もちろん書かれた時代が時代ですから、「その当時はOKでも今はNG」と考えられる差別的な表現や概念が含まれている箇所もあります。でも、それもひっくるめて「学問のすすめ」ですから、きちんと訳してあります。

それでは、福澤氏は、「学問のすすめ」で、実際何をおススメしようとしていたのか?というお話になるのですが、そこで冒頭の「天は人の上に・・・」に戻ります。

福澤氏曰く、人間の「地位」だの「立場」だのは不平等かもしれないけれど、人間の「権利」は生まれながらに皆平等であり(私個人の感想ですが、「地位と立場」と「権利」の2つを切り離して考えることが、この本を通じて重要なのかなと思います)、この「権利」はどのような「地位」や「立場」の人間によっても侵されてはいけないんです(うん、そうだ、そうだ)。そう考えると、人と人とはこの基本的な権利において平等なワケで、そうすると、人と国(政府)はやっぱり平等、ならば国対国だって平等だ・・・とちょっとかいつまみすぎですが、そういう理論なのだそうです。それじゃあ、人と人、人と国、そして国と国とが、対等に渡り合えるようになるにはどうすれば?

というところで、福澤氏は「学問すること」そしてその結果として、「人間的に成長」し「自立心を養うこと」をおススメしたいワケですね。

本書に何度と無く書かれていますが、学問するって、本読んで難しい言葉覚えて云々だけじゃないそうなんです。福澤氏の言葉(の現代語訳)を借りれば、「実生活も学問であって、実際の経済も学問、現実の世の中の流れを察知するのも学問」なのだそうです。

そしてこの定義を基にした学問を身に着けることによって、人間としての品格も上がり、才能や人間性が高まり、それが、対政府関係、対人関係、ビジネスセンスの向上にもつながることになる、というのが福澤氏の主張です。

例えば、またまた本書の言葉を借りちゃいますが、学問することによって、ビジネス的側面では「商売の状態を明らかにして、今後の見通しを立てるものは、帳簿の決算だ。自分自身の有様を明らかにして、今後の方針を立てるものは、知性と徳と仕事の棚卸し」であるということが理解できるようになり、人間性的な側面では、「人望とは実際の力量で得られるものではもとよりないし、また財産が多くあるからといって得られるものでもない。ただ、その人の活発な知性の働きと、正直な心という徳をもって、次第に獲得していく」ものだということが、理解できるようになるのだそうです。

昔のベストセラーだけれど、今の時代に暮らす私達が読んでも、「そうだよね」と納得する箇所あり、「はっ」と何かに気付かされる箇所ありで、非常に読み応えのある本でした。もちろん、本書の内容が気に入ったからといって、「福澤氏がこう言ったからこうしなくちゃいけない」、なんて思い込みは不要だと思います。人それぞれ、信念ってありますしね。けれど、学問が、実生活・政治・ビジネス・交友関係・人間性なんかにどうつながっていくのかなっていうあたり、福澤論に一度触れてみるのもいいんじゃないかと思います。

福澤氏にしっかりと、学問をおススメしてもらいました。
面白かったです!
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カテゴリ: 【6】 読書あれこれ

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Posted on 2012/11/30 Fri. 19:03    TB: --    CM: --

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