【自分メモ】

フリーランス翻訳者の読書メモ

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『帰ってきたヒトラー』 


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ティムール・ヴェルメシュ 著の『帰ってきたヒトラー』を読みました。

超ざっくりあらすじを紹介すると、ヒトラーが現代にタイムスリップしてきてしまうストーリー。本人はいたって本人のままなのだけれど、現代ドイツでは「ヒトラー芸人」として注目を集め、あれよあれよという間にお茶の間の人気者に。人々はヒトラー芸人の容赦ない「ブラックジョーク」を楽しみ、ヒトラー本人はドイツを今一度自分が理想とする国家に導くため、自分の信念を人々に説く日々。そして徐々に、彼のメッセージはドイツ国内さまざまな政党の興味を引くことに。

ところでなぜこの記事が「翻訳」カテゴリに入っているのかというと、「翻訳者さんすごいなー」と私が終始感心しっぱなしだったからです。原書のヒトラーは彼自身が生きた時代の言葉で話すのだろうし、その言葉づかいを日本語にした時にこれまで世に出たヒトラー関連映像で字幕化された言葉づかいと大きく離れてしまうのはきっと好ましくないのだろうし、この本はヒトラーの視点で書かれているので翻訳者さんが「ヒトラーになって」書かなければならないし、それはつまり彼自身についてだけでなく当時の政治や戦況についても知っておかなければならないということ・・・。

・・・と、訳出前の段階で必要な作業をアレコレ想像してみるだけで私はすでに気が遠くなりそうなんですが(笑)、個人的にさらにすごいと思ったのは、ヒトラーと周囲の人々との会話の表現でした。ヒトラーは大戦当時の彼として現代の人々と言葉を交わし、現代の人々は彼らの常識をベースにヒトラーの言葉を解釈するのですが、これがまたうまい具合(?)に、会話が成り立っていそうで実のところ成り立っていなかったりします。例えるなら、アンジャッシュの勘違いコントみたいな感じでしょうか。表面的な言葉は会話として成り立っているのに、お互いの意図や真意はまるで別のところにある感じ。登場人物にも読み手にも若干のもやもや感を残しつつ、「闇アンジャッシュ」みたいになったままストーリーはどんどん進んでいきます。もちろんこれは、「原文が勘違いコントだったから訳文もそうなった」ということなのだろうと思います。それでも、ボタンの掛け違いが引き起こす会話のちょっとしたいびつさが翻訳を通じて日本語でもしっかりと感じ取れて、私はストーリーに夢中になりながらもひたすらその技術に「翻訳者さんすごいなー」と思わずにはいられませんでした。

それにしても『帰ってきたヒトラー』、面白かったです。内容についてもいろいろと思うところがありましたが、それはまたいつかの機会に。映画も近々観てみたいと思います。楽しみ!

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カテゴリ: 【5】 翻訳・語学 

テーマ: 翻訳いろいろ - ジャンル: 就職・お仕事

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Posted on 2017/03/28 Tue. 17:41    TB: --    CM: --

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