【自分メモ】

フリーランス翻訳者の読書メモ

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『壊れた脳 生存する知』 

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山田 規畝子 著の『壊れた脳 生存する知』を読みました。
三度の脳内出血を経験し高次脳機能障害者となった著者が綴る、人生の記録。医師であるからこその冷静な観察内容と、一人の人間としての素直な気持ちとがギュっと詰め込まれていて、非常に読み応えのある一冊です。

脳梗塞、くも膜下出血、脳内出血といった脳血管障害(一般的には「脳卒中」と呼ばれていますね)によって引き起こされる機能障害は、本当に本当に人それぞれ。著者の場合は、言語機能は損なわれなかったものの、記憶の維持が難しくなったり、視界から入る情報を脳が正確に処理できずうまく体が動かなかったり、半身に麻痺が残ったり。この本では、著者自身の障害が、日常のエピソードとともに非常に細かく描写されています。

そしてそこには、私たちが学ぶべきことが非常にたくさんありました。

それは例えば、高次機能障害者の気持ち。脳のパーツがうまく連携しなくなってしまったために、これまで何の苦労もせずできていたことが、できなくなってしまいます。そんな時本人は、「できなくなってしまった自分」をいやと言うほど実感しているのだそうです。だから、発症前のその人と比べたり、「もっとしっかりしてよ」というような言葉をかけたりするのは、絶対ダメ。この本を読むと分かるのですが、時間をかけて効果的なリハビリを続ければ、少しずつ機能が戻ってくることもあるそうです(いつか読んだ『The Brain That Changes Itself脳は奇跡を起こす)』を思い出します...その時の記事はこちら)。だから、もし身近な人が同じような立場になった時には、「少しでも前に進もうね」という気持ちをシェアしながら一緒にリハビリに取り組めたらいいのかなと思います。

次に、高次脳機能障害者は空腹になりやすいということ。高次脳機能障害者の脳は、機能が低下してしまった部分を補うために、総力を挙げて頑張っています。同じ動作をこなしたとしても、健常者と比べると何倍ものエネルギーを使うのだそうです。だから、ひどい空腹感を訴えることが多いそう。体をそんなに動かしてないかもしれなくても、脳はフル回転。覚えておきたいポイントです。

そして、日常生活が一番のリハビリということ。近しい人が苦労していたら、きっとつい、なんでもしてあげたくなっちゃうと思うんです。でも、筆者によれば、日常生活で難しいと感じることにあえて取り組むのがとても大切だそう。だから、難しいと思うけど、「ちょうどよい」感じで手助けをできたらいいのでしょうね。

その他にも、広く世の中に伝わってほしい情報がいっぱいです。
そして私は、次は同じ著者の『壊れた脳も学習する』を読んでみようと思っています。

最後になりますが、本書の中で著者は、マイケル・J・フォックスが著書『ラッキーマン』で「病気にならなければ(同氏はパーキンソン病患者)こんなに豊かな気持ちになることはなかった... 自分はラッキーだ」と書いていたことに言及し、「自分もそう思う」と記しています。これって、少し前に紹介した「人工的幸福(synthesized happiness)」の実例と言えるのではないかなと思います(その時の記事はこちら)。色んなところから得た情報が、こうしてちょっとずつつながっていくのって、楽しいですね。
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カテゴリ: 【4】 心理学 

テーマ: 心理学いろいろ - ジャンル: 心と身体

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Posted on 2013/02/04 Mon. 17:50    TB: --    CM: --

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