【自分メモ】

フリーランス翻訳者の読書メモ

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『「自己啓発」は私を啓発しない』 


齊藤 正明著の『「自己啓発」は私を啓発しない』を読みました。

めくるめく自己啓発セミナーの日々を経て、著者が本当に学んだものはセミナーの「外」にあったというお話です。

目が合うたびに「死ね」を連呼するようなパワハラ上司のもとで働く気弱な著者は、どうにか上司との関係を改善すべく、数々の自己啓発セミナーを渡り歩きます。聞くだけで成功者になれるというテープ教材に手を出すところから始まり、積極性を養うための「よくわからない」(←著者の言葉・笑)セミナーを勧誘されるままに初級・中級・上級コースまで受講し、果ては実習として「知人をセミナーに勧誘しろ」と言われて友人関係をダメにしてしまい、その一方でコミュニケーション能力を向上するセミナー、ディベートセミナー、さらには風水セミナーにも参加し、とどめに(?)気弱なところにつけこまれてネットワークビジネスに勧誘されて商品を買っちゃいましたという数年間。読みながら「えーっ。うそーっ。」と目をふさぎたくなってしまうような、主催者側には失礼だけどつい「怪しい!」と思ってしまうようなセミナーの数々。つぎ込んだ金額は最終的に600万円を超えたそうです。

そんな中、そのパワハラ上司の思いつきで著者はマグロ漁船に乗せられるのですが(話の舞台が海洋関係の研究機関だったからこその展開!笑)、そこで著者は船長との出会いを通じて、自分の歩むべき道を見出します。目指すはコーチングの道(もちろんコーチングのセミナーも受講!)。

著者が自己啓発セミナーを受講し始めたそもそもの動機は、パワハラ上司が自分に害を与えなくなるよう、なんとか状況と上司を操作することでした。数年後パワハラ上司が退職した後は、チームリーダーとして同僚をうまく動かすことが目標となりました。「人を動かす」ことを目標に著者はさらに数多くの自己啓発セミナーを受講するのですが、結果は散々。そこで著者が気付いたのは、「自己啓発セミナーの教えで変わるのは自分だけで、周囲の人間まで変わることはない」ということでした。もし本気で他人を動かしたいのであれば、自己啓発セミナーで教えられた手段や技術を忠実に実践するよりは、「この人のためなら動きたい」と思わせる人間になる方が効果的と言えそうです。

その後著者は幸運な偶然が偶然を読んで人材研修講師になり、出版業にも足を踏み入れるわけですが(もちろんその間も講師養成セミナーや出版成功セミナーを受講!)結局著者が学んだ大事なことは、自己啓発セミナーの教えの中ではなく、自身のセミナー受講者からのフィードバックや書籍出版後の周りの態度の変化の中などにありました。さらに自己啓発セミナーに関していえば、「そこで教えられることは主催者の成功体験であって、それが受講者を成功に導くかどうかはまた別の話」ということに気付いたとのことでした。

多くの自己啓発セミナー経験があったからこそ、本当の学びをセミナーの外に見つけることができた著者。絶え間ない自己啓発セミナーの波を乗りこなす(?)著者の生活は第三者の私にとってエンターテイメント性の高いストーリーでしたが、ご本人にとっては真剣そのものの波乱万丈な日々だったと思います…。

ちょっと変わった自己啓発本、まるでドラマを観ているようで楽しかったです (^m^)

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カテゴリ: 【6】 読書あれこれ

テーマ: モノの見方、考え方。 - ジャンル: 心と身体

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Posted on 2017/01/10 Tue. 19:41    TB: --    CM: --

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