【自分メモ】

フリーランス翻訳者の読書メモ

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『長いお別れ』 



中島 京子著の『長いお別れ』を読みました。


かつて中学校の校長や公立図書館の館長をつとめた一家の大黒柱が認知症に・・・なって10年、というところからスタートする東家の介護ストーリーです。

認知症患者の自宅介護をテーマとした小説として思い出すのは、以前読んだ有吉佐和子著の『恍惚の人』(その時の記事はコチラ)なのですが、なんといいましょうか、『恍惚の人』が昭和の介護なら、『長いお別れ』は平成の介護という感じを受けました。こんな風に区別をするのは乱暴かもしれませんが、それだけ『長いお別れ』には現代の介護事情が多く描写されています。

『恍惚の人』に描かれていたのは、認知症を患った義理の父の介護を一手に引き受けた、というか、押し付けられてしまった嫁でした。仕事をしながら手探り状態で必死に義理の父を自宅で介護する嫁と、実の父の事なのに全くノータッチの夫との差に、プンスカ怒りながら読んだことを思い出します。全体的にどんよりと暗いムードの中、まるで絵にかいたような「嫁=介護者」ストーリーが展開していました。

一方『長いお別れ』で認知症患者を介護するのは妻。多くの人が耳にしたことがある「老老介護」の様子が描写されています。夫婦の間には子供が3人いますが全員すでに家を出ていて、いわゆる「一般的な」家庭を持つ者、夫の仕事を理由に海外で暮らす者、そしてフリーランスとして生計を立てている者と三者三様。現代日本ではあってもおかしくない設定ですね。

妻はそんな子どもらと連絡を取りながらなんとか夫を自宅介護するのですが、進行する認知症を相手に一筋縄ではいくはずもなく。デイケアに通わせてみたり、夫が徘徊してしまった時には(子供にプレゼントされた)スマホのGPS機能で位置確認してみたり、そうかと思えば自身が入院することになったり、ついには特養のお世話になるべきかと提案が持ち上がったり。介護中心のあわただしい毎日を送る妻のストーリーと、自分の生活や仕事でやはりあわただしい子供らの描写が絡み合って、全体的にはマイルドなドタバタ劇という印象でした。

『恍惚の人』とはまるで違う軽め・明るめなトーンの中、登場人物描写の鮮やかさとストーリー展開の勢いに圧倒されて、あっという間に読んでしまいました。色んな立場の人間が妻とのかかわりで登場するので、読者ひとりひとりが「今の自分はこの人の立場に近そう」と感情移入できる登場人物を見つけることができるかもしれませんね。

なんとなく抑え目な色調の表紙だったものだからしんみりと悲しい感じの小説なのかなと思ってたけど、表面的な印象で勝手に判断しちゃいけませんね(笑)。このご時世、もはや誰にとっても他人事ではない「認知症」そして「介護」の物語でしたが、重くなり過ぎず、それでいて読後に、「さて、自分自身の家族はどうだろう」としっかり考えさせてくれる一冊でした。

  

少し前(うそ、1か月以上前・笑)に大好きな「パンケーキリストランテ」でランチしました。店名が変わったり、内装が改装されたり、メニューが変わったりと、時を経て様々な変化を見てきましたが、それでもやっぱり大好きなお店です♡ デザートはそのすぐ近くの「パブロフ」でフレンチトースト、美味しかった~♪

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カテゴリ: 【3】 認知症 

テーマ: 認知症いろいろ - ジャンル: 心と身体

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Posted on 2016/04/23 Sat. 10:00    TB: --    CM: --

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