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市民公開講座「認知症の正しい理解」に行ってきました 



11月29日に開催された、市民公開講座「認知症の正しい理解」に行ってきました。

今回の市民公開講座は、11月29日から12月1日に開催された「第33回日本認知症学会学術集会」の一環として行われたものでした。

ちなみに学術集会は当日受付で誰でも参加できたようなのですが、残念ながらスケジュールが許さず。でもせっかくなので、学会集会用の抄録集(論文アブストラクト集)を買ってきました。どんな研究がされているのかこれで学びたいと思います。読むの楽しみだな。

さてさて、肝心の市民公開講座なのですが、今回は3時間で4つの講演でした。

講演1:早期(鑑別)診断と治療の重要性

この日最初の講演は、まず認知症の基本から。
認知症の種類によって障害される脳部位が異なることや、脳に異常なたんぱく質が蓄積されてそれにより神経細胞が脱落し認知症に発展することや、アルツハイマー病は発症する何年も前から進行することを学びました(80歳で発症するとしたら、その30年前の50歳の時点でたんぱく質の蓄積が始まる感じ)。神経細胞の脱落を防ぐ薬はまだないので、神経伝達物質を補うことが現在の主な治療だけれども、同時に予防も大事というお話でした。もちろん予防といっても、それは「発症を遅らせる」ということなのですが・・・。予防に効果的なのは、運動、知的活動、社会活動ということでした。また、以前どこかの講演でも同じことを聞きましたが、若い頃勉強した人ほど認知症になりにくいのだそうです。知的活動ってことですよね、きっと。講演者は「学歴が高い人ほど・・・」という表現を使っていました。

ところで、認知症といっても記憶障害だけが症状ではなくて、例えば言葉が出てこない(失語)とか、言葉の意味が分からないといった症状もあります。生活に支障が無かったとしても「あれ?いつもと違う?」と思ったら一度受診してみることが早期発見につながりそうです。早期発見できれば、今後の対策が立てやすいですものね。

講演2:地域包括ケアとオレンジプラン


世界のどこかで4秒に1人が認知症になり、日本では認知症患者が462万人、MCI(軽度認知障害)患者が400万人という時代。認知症への理解と認知症フレンドリーな社会の必要性が高まってきました。そんななか、認知症患者が住み慣れた街で暮らせるようになるための行政施策がオレンジプランとして策定されています。プランには、適切なサービス提供の流れの構築(ケアパスの作成)、早期診断と対応(かかりつけ医に認知症の知識を持ってもらう等)、薬物治療のガイドライン(非薬物治療の必要性も含む)、介護家族への支援、介護人材の育成などなど7つの方向性が定められています。オレンジプランは5か年計画ということですが、今すでに介護職の人の報酬が少なくて人材不足だったりとか、BPSD(行動心理症状)を抑えるために医師がどんどん向精神病薬を処方しちゃってるとか、ニュースからそして風の噂でいろんなお話が耳に入ってきていますよね。オレンジプランについての構想は、フォントサイズ6くらいの文字がPPTをみっしりと埋めるほどの情報量で説明されていました(読めなかったけど)。5年間という短い年月の間にどこまで実現されるかは、政府がどこまで本気でこれからの国民の暮らしを考えてくれているかにかかっているのかもしれませんね。今後数年間に期待したいと思います。

講演3:地域で支える認知症

講演3は、講演2の続きでした。というより、講演2が行政発の地域サポート情報だったのに対し、講演3は現場視点での地域サポート情報でした。この講演では、地域包括ケアシステムの重要性が強調されていました。このシステムでは、「地域ケア」は地域住民参加型であって当事者の想いを中心とした地域の特性に合わせたケア、「包括ケア」は様々な支援を統合したもの、と定義されていました。日本の区市町村には現在「地域包括支援センター」が設置されています。困ったことや質問があれば、まず最初の窓口はここ。そこから、医療や介護につながる支援が行われます。行政視点でいえば、「ケアパス」の活用ですね。

認知症は、患者さんご自身はもちろんですが、介護するご家族も大変。介護をしながら、愛する人を失う喪失感、現在そして将来への不安、周囲からの孤立といったさまざまな精神的負担を追うことになってしまいがちです。ですから、患者だけでなく家族へのサポートも非常に重要になりますね。地域サポートの推進で、家族会、介護者教室、認知症カフェといった社会資源がより介護者に身近になることを願っています。

講演4:認知症のケア

日本の高齢者が生涯認知症になる確率は50%。認知症と長寿はセットであって、日本は長寿大国、つまり認知症に「なれてしまう」国になりました。さて、家族が認知症になった時、大事なことはなんでしょう。認知症患者は病識(自分が病気であるという認識)がないので自分をモニタリングできませんし、自分が「忘れる」ということに対して自覚がありません。患者さんはこの状態から変わりません・・・だとすると、家族そして介護者が柔軟に変わるしかありません。できることは、「認知症患者には自覚がない、病気を理解していない」ということを受け入れることなのだそうです。また、患者さんは記憶を失うことで自分が無くなるという不安を抱え、時間軸が消えることで未来が無くなるという不安を抱え、自分の言動によって自信や信頼をなくしてしまいます。介護者はそういった気持ちに共感し、患者を褒め、受け入れ、そして患者の役割を回復することが大事です。逆に、患者ができないことを本人に向かって指摘するとケンカになったりしますので注意なのだそうです。

最初に、認知症と長寿はセットと書きました。昔は珍しかった100歳以上の高齢者も、いまではそんなに珍しくないような気がします。元気で長生きは誰もが願うことなのかもしれません。それが「良いこと」という空気があるのも確かです。でも、長生きって本当にいいんだろうか・・・。これまで何度か認知症関連のセミナーに行きましたが、数回に一度、それも専門家から「長生きって本当に幸せなことなんだろうか」という言葉を聞きます。私もこれについては考えることが多くなりました。簡単に答えの出る問いではないと思うけれど。

今回は3時間で4講演というちょっと駆け足な市民公開講座でしたが、いろんな視点から認知症について知ることができました。以前どこかの講座でどことなく同じような話を聞いたような気がしても、毎回新しい学びがありますね。

今年は認知症の基本を教えてもらえるような公開講座に何回か足を運びました。専門家が一般の人々に知ってほしいと考える認知症のアレコレについて、ぼんやりと輪郭が見えてきたような気がします。今後も面白そうな公開講座には参加しようと思いますが、来年はこれまで学んだことを補完できるように、系統だててしっかり勉強していこうかなと思い始めています。
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カテゴリ: 【3】 認知症 

テーマ: 認知症いろいろ - ジャンル: 心と身体

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Posted on 2014/12/02 Tue. 13:11    TB: --    CM: --

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