【自分メモ】

フリーランス翻訳者の読書メモ

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『認知症 「不可解な行動」には理由がある』 



佐藤眞一 著の『認知症 「不可解な行動」には理由がある』を読みました。

豊富なケーススタディを紹介しながら、認知症患者さんの言動を、心理学そして人間行動学の観点から読み解いてゆく一冊です。

本書が届き、さっそくパラパラとめくり始めて「お?」と思ったのは、目次の長さでした。そしてそこに見える「ケース」の文字。一冊のおそらく半分、もしくはそれ以上の分量がケーススタディに割かれていて、各事例のタイトルが分かりやすく目次内で表現されていたのでした。もちろん認知症の行動心理症状は人それぞれだと思うのですが(症状もその理由も)、なんとなく気になる症状を目にした時には、この丁寧な目次からケーススタディをすぐ見つけ「なるほどそういうこともあるのか」と参考にできそうです。

本はまず、認知症の基礎知識から。といってもこれまで読んだ認知症の基礎の本よりさらに「認知」に焦点を当てた説明が多く、例えば記憶の種類やその保持メカニズムなんかも分かりやすく解説されています。また、映画「明日の記憶」(予告動画)で渡辺謙さんが演技のモデルとした越智俊二さんご自身のエピソードなんかも収録されていて、より理解が深まります。

その後ケーススタディの紹介と説明なのですが、冒頭でも述べた通り本当にたくさんあります。どれも認知症(というかアルツハイマー型認知症)に多く見られる症状です。「本や新聞を読まなくなった」「外出しなくなった」といった、家族等周囲の人たちが「あれ?」と最初に気付くような症状から、「同じことを何度も言う」「約束を忘れる」といった比較的広く知られている症状、そして、「驚くほど大量に食べる」「服を着られない」「箸を使えない」といった、認知症が重くなると目立ってくる症状まで、認知症の進行に合わせてカテゴライズされています。

どのケースも「こんなことがありました」と紹介しっぱなしなのではなく、認知症の患者さんが何をどう考え、もしくは、どんなことを考えられなくなってしまった結果の言動なのかが、専門家でなくてもスッと理解できるような平易な日本語で書かれています。すべての患者さんに判を押すように当てはまるわけではないと思うのですが、それでも一例として「なるほどー」と納得できるものばかりでした。

この本を読みながら自分の中で再確認したのは、すでに広く言われていることですが、患者さんのバックグラウンドを知ることの大切さですね。もともとどのような性格で、家族とはどんな関係を築いていて、どのようなお仕事をしていて・・・などなど。これが、一見「不可解」な行動を理解するための糸口となる可能性がありそうです。また、もう一つ心にとどめておかねばと思ったことに、患者さんのつらさや葛藤がありました。特に認知症初期は、自分に良からぬ変化が起こっていると認識できてしまい(それを他人から指摘されることもあるでしょう)、自分のアイデンティティが失われていく恐怖を感じることが多いのではないだろうか、と本を読みながら感じました。

一歩患者さん寄りの視点で症例を読み、心理学そして人間行動学に基づいてそれを理解できるという、読みやすくも読み応えのある良い一冊でした。
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カテゴリ: 【3】 認知症 

テーマ: 認知症いろいろ - ジャンル: 心と身体

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Posted on 2014/11/04 Tue. 10:00    TB: --    CM: --

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