【自分メモ】

フリーランス翻訳者の読書メモ

10« 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.»12

『Somebody Stole My Iron: A Family Memoir of Dementia』 



Vicki Tapia 著の『Somebody Stole My Iron: A Family Memoir of Dementia』を読みました。


主人公Vickiが、85歳になる自分の母親の言動に「あれ?」と思うところから、母親のアルツハイマー病診断、介護施設での様子、終末期、そして看取りまでを描いた一冊です。

64章に渡る、母親の言動の変化、体調の変化、生活の変化。そしてVicki自身の、生活の変化と感情の変化。

もともと高圧的で、頑固で、ネガティブな性格だった母親は、病気が進行して様々な場面で認知障害や記憶障害が目立つようになっても、やはり高圧的で、頑固で、ネガティブ。これまで読んだ認知症の本にも、そういえば、発症前の性格がより強調されるのがアルツハイマー病と書かれていたのを思い出します。

アルツハイマー病が原因で自立した生活を営むのは不可能と判断されたVickiの母親は、夫と一緒に介護施設に入所することに。ちなみに夫はというと、母親のアルツハイマー病発症に先立ち、パーキンソン病の症状を伴う認知症を発症していました。入所前の生活はつまり、認知症患者が認知症患者を介護する、いわゆる「認認介護」という状態だったのでしょう。お互い認知機能に問題があるので生活を支えるのは難しいし、高齢で体力も低下しているので物理的にお互いをサポートするのも難しい毎日・・・。Vickiの母親も、最初は入所の勧めに激しく抵抗しますが、パーキンソン病の症状を持つ夫を物理的にサポートするのに限界を感じていたのでしょう。(ちなみに日本は政府が「在宅介護」を推し進めていることから、この認認介護、これから目に見えて増えていくのではないかと、ひっそり地味に心配しています。)

介護施設に入所した後は、Vickiの施設訪問がストーリーの中心です。両親を見舞うために施設を訪れるのですが、時を追ってだんだん母親の症状は深刻に(父親も認知症ではありますが、この本の主題はあくまでも母親のアルツハイマー病です)。夜眠らなくなったり、食べ物で遊ぶようになったり、排せつに問題が生じるようになったり、思うように言葉が出てこなくなったり、本が読めなくなったり。そしてついに、自分の娘を認識できなくなる時が。

各章は短く、章の終わりにはVickiが自身の体験を通じて学んだことが記されています。認知症を患った肉親への対応だけでなく、介護施設について、病院について、介護する者の心構えなど。各章から、彼女の思ったこと、感じたことがダイレクトに伝わってきます。そして何度も繰り返されていたのは、精神的なサポートの重要性、そして、患者に対する忍耐力の重要性でした。

本を読み進めながら、私はVickiが経験した愛する母親との長い長いお別れのプロセスを思って泣き、介護施設職員の寛大さと工夫と努力にただひたすら脱帽しました。

これからの時代、認知症患者が増えれば介護する人間も増えていきますね。この本は、介護する人々にとって素晴らしい参考書になるだろうし、心の支えにもなるだろうと思います。いつかこの本が日本語に翻訳されて、多くの人の目に触れるといいなと心の底から願っています。
関連記事

カテゴリ: 【3】 認知症 

テーマ: 認知症いろいろ - ジャンル: 心と身体

[edit]

Posted on 2014/10/01 Wed. 16:35    TB: --    CM: --

Greetings!

Categories

Recent entries

Archive

Now on Instagram

Twitter

My bookshelf

Recommended books for you

Search in this blog

Send mail